伊勢神宮の式年遷宮

先日、2033年の式年遷宮にむけてのご用材を神宮の境内に運ぶ「御木曳き」という行事に参加してきました。2025年に木曽地方の山林から伐り出されたヒノキです。

 

前日に二見興玉神社で浜参宮を行い、身を清め翌日特別神領民として「エンヤー、エンヤー」の掛け声と共に、御用材ののった奉曳車(ほうえいしゃ)を約700名の人たちと一緒にひきました。1キロを1時間くらいかけて。途中止まって、木遣り頭(きやりんど)の歌う木遣り唄(きやりうた)を聞き、皆でそれに応えて歌い、また皆で曳く。これを数回繰り返しました。なんとも清々しい時間でした。

  

この行事に参加するためには、下着から全て白で揃えなければなりませんでした。こんな風に白で身を包むことは今までになかったような気がしました。しかし、白ってなんて気持ちがいいのでしょう。上には皆お揃いの法被を着ました。不思議なエネルギーが体を包んでくれているようでした。

伊勢神宮では20年に一度、内宮と外宮をはじめとする正殿や御垣内の全ての建物を建て替えます。さらに、神様の衣替えに当たる「御装束神宝」と呼ばれる衣服や調度品、武具なとも全て新しくされます。

天武天皇が定め、持統天皇の時代(690年)に第一回が行われて以来、1300年以上にわたって続けられています。

伊勢神宮の敷地には、現在のお社の隣に全く同じ大きさの空き地があります。新旧のお社が並ぶ時期があり、その時に神様が新しいお社に移られるのです。

20年に一度、莫大な費用と労力をかける理由は3つあります

1つ目、神道では瑞々しく清らかな状態を保つことで神様の力が強まるといわれています。「形あるものはいつか朽ちる」という前提を受け入れ、古くなったものを直すのではなく新しく作り替えることで永遠の若々しさを保ちます。

2つ目、宮大工の建築技術・茅葺きの技術・さらには神宝を作る人間国宝級の職人技を途絶えさせないための知恵です。20年周期であれば、20代で先輩の手伝いとして初めて遷宮を経験した職人が、40代で中核として現場を仕切り、60代で棟梁として次の世代に技術を教えることができます。一生に3回経験することで技術が完全に次の世代へ引き継がれるのです。

3つ目、伊勢神宮の建築様式は唯一神明造という、高床式倉庫から発展したものです。柱を地面に直接突き刺す「掘立柱」や茅葺屋根のため、木材が腐食する前に建て替える必要があるのです。

解体された古い神殿の木材は、宇治橋のたもとの大島鳥居に再利用されたり、各地の神社の修理や建て替えに使われます。最後の最後まで余すところなく使い切る、リサイクルシステムです。

これから、2033年に向けて、様々な行事が行われます。できる限り、参加させていただきたいと思っております。そして2033年までの7年を健康で過ごし、遷宮を見に行きたいと思います。